セックスは男女の営みだ。男女が助け合って快楽を生む行為だ。先入観や偏見を捨てて前向きにコミュニケーションを取れば必ず素敵なセックスができる。今回の出会い系体験でそのことを学んだ。
ところで三重苦、と聞いて何をイメージする?
僕が抱えていた三重苦は「童貞」「仮性包茎」「短小」だ。このコンプレックスのおかげで二十四歳になるまで彼女ひとり作ったことがなく、自分には恋愛する資格がないものと最初からあきらめていた。
転機が訪れたのは、どう考えても僕よりも能力、容姿ともに劣る同僚が出会い系でセフレを作ったことだ。何だか侮辱されたような気になり、僕もやってみようと思い立った。
さっそく登録し、宇都宮市に住む二歳年下の女性と知り合い、即会いが叶った。何回かデートしいろんなことをざっくばらんに会話できるようになってから、こんなことを告白。
「僕は童貞で、アソコが皮かむりで、短いんだ。こんな僕だけど嫌いにならないでね」
すると彼女の表情が急変。今日かぎりで交際をやめたいと言われた。
「その程度のことでうじうじする男性は、万事において自信がない男性に見えます。女性は間違いなく引いちゃいます」
この経験はトラウマになり、世の中の女性がすべて敵に見え、自分ひとりの殻にこもるようになった。ある意味精神的な障害を受け、数日間会社を欠勤するなど鬱に近い状態に。
転機が訪れたのは、突然送られてきた彼女のメールだった。
「ごめんなさい。この前は言い過ぎました」
交際中止の宣言をしたのに、この二週間ずっと僕のことを考えていたのだろうか。
ここで奮起できなかったら男じゃない。ここで何もしなかったら、トラウマで恋愛できないばかりかずっと三重苦を背負ったまま、かつこの惨めな過去を引きずって生きていくことになる。僕は彼女に会いに行った。
―嫌われてもいい。体当たりでぶつかるのみ―
いきなりホテルに誘ったが、彼女は抗うことなくついてきた。へたくそなセックスをして、ものの十分で最初の交尾が終わった。
「失敗したけど、次は少し上手になれるように頑張る。君を少しでも幸せにするために頑張る」
彼女が微笑む。
「最初にそういう気持ちを持ってほしかった」
そして僕の下半身をチラ見してこう言う。
「別に普通じゃない。元カレもこんな感じだったよ」
「でも包茎だから気持ちよすぎて我慢できない」
「コンドーム二個つけてみようか。慣れてきたら一個にするのはどう?」
「そうしてみるか」
彼女の微笑に微笑で答える。
うじうじせずに前向きになれば、女性も前向きになってくれる。
それを教えてくれた彼女に感謝。