中年童貞だったが、なんとか童貞喪失を果たした

中年童貞だったが、なんとか童貞喪失を果たした

中年童貞に未来はないのか。

この問いかけに私はきっぱりと答えたい。

未来はある。ただし勇気と不屈の精神が必要だ。

私は四十五歳。このたび出会い系で松江市に住む子持ちの女性と知り合い、童貞を捨て、内縁の妻にすることができた。ここまでたどり着くのに色々苦労もあったが、夢を成し遂げた自分を褒めたい。世の中には人生を悲観する中年童貞諸君も多いだろうから、是非私の体験を参考にして未来を切り開いて頂きたい。

童貞。

この言葉が持つ語感にはたとえようのない重さと悲壮感がある。少なくともこの言葉から明るいものをイメージする人は皆無だ。「私は癌です」と人前で言うのはたやすいが「私は童貞です」とは口が裂けても言えない。それほどこの言葉は重い。

私は生まれて四十五年間女を知らず、とくに性欲に目覚めた青年期から今に至るまで、欲求不満とコンプレックスと戦ってきた。それは自分との戦いだった。三十代後半くらいから自分が独身であることに焦りを感じはじめる。親兄弟、知人にいたるまでそのことを危惧しいろいろアドバイスするようになったが、四十歳をすぎると誰も何も言わなくなった。

私だって何もしなかったわけじゃない。女性も好きになったし、風俗にも行こうとした。だが勇気がなかった。あと一歩のところで男になれなかった。壁を越えられなかった。

あと五年で五十歳。これからは精力も衰える一方だろうし成人病に罹るリスクも高くなる。相手を探すなら今だろう。童貞と独身を卒業するのは今の時期が最後のチャンスかもしれない。

―最後にもう一回壁を越える努力をしてみるか―

私は出会い系に登録し、女性を探した。

だが結果は悲惨だった。女性とは出会えるが年齢がネックになり、特に若い女性からは断りのメールばかり飛んでくる。一度都内で三十三歳の女性とお茶を飲むまで進んだが、二度目はなかった。この年で恋愛することの難しさを改めて知る。だがここであきらめたら昔と同じ。ここが踏ん張りどころだ。

三十七歳の女性は五度目の正直。

「松江市まで着ていただけますか。二歳の女児の母ですが、貴方に会いたくても旅費がなくて上京できません」

シングルマザーというのが気になるが、私に会いたいなんて言ってくれる女性は今までいなかったので、飛んで行った。茶髪で放漫なタイプで夜の女をイメージさせたが、時間をかけて話してみると芯が強く健気な女性だった。

「経済的に頼りになる男性と知り合いたくて」

「結婚相手を探してるんですか?」

「相手が子持ちでいいと言ってくれるなら」

松江市内のホテルで宿泊したが、二日目の夜、彼女と結ばれた。童貞だからうまくできないと思ったが、この歳になるとペニスの感覚も鈍感になるようで、普通にセックスできた。何だこんなものかと思った。彼女も私のことを童貞だなんて思っていないようだった。

「旅費その他は面倒見ますから東京に来ませんか。最近分譲マンションを買ったばかりで、部屋は余っています」

今、三人で暮らしている。

諦めなくてよかったと思う。今や童貞喪失と恋愛と結婚をいっぺんに手に入れた。私は失われた青春を取り戻そうと毎日頑張っている。

年が明けたら籍を入れようと話し合っている。

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