アニメの女の子に似ていた子と会って童貞卒業した

アニメの女の子に似ていた子と会って童貞卒業した

二十二歳で童貞を卒業した。

これを機に二次元のエロアニメ画像からも卒業しようと思う。

俺はいわゆるオタクで、アニメなしでは生きていけない男だった。現実世界には関心がなく、二次元の世界ですべての欲望を満たしてきた。恋人もアニメの女の子だし、オナニーする相手もセックスする相手もアニメの女の子。二次元の世界には、俺の欲望を簡単に満たしてくれる女の子であふれていた。

そんな現実逃避気味の俺が出会い系で現実の女の子とセックスして童貞を卒業したなんて信じられないだろう? 俺だって信じられない。現実という世界では、こういう突飛なことが起きる。だからおもしろい。二次元よりおもしろい。

出会い系に登録したきっかけは友人にある。友人はすでに出会い系に登録していて、彼女も作っていた。ある日俺は友人と一緒に某サイトの女の子のプロフを見ていた。

「出会い系にはこんなに可愛い子がいるんだぜ・・・お前もどうだ」

次々と女性の写真を開いていく友人。

「ちょっと待って」

ひとりの女の子に目が止まる。気に入っているアニメの女の子にイメージが似ている

「この子が気になるのか? たしかにお前の理想の子に見える。いいチャンスかもしれないな。チャレンジしてみたら?」

二次元にいた彼女が現実の世界に飛び込んできた気がする。俺はその子に会いたくてすぐに登録した。彼女を見つけだしてメールするまでそう時間はかからなかった。

俺は福岡の人間だけど、彼女は熊本の住民。

「こっちまできてくれるんなら会ってもいいかな」

そんなメールが返ってきた。俺は速攻で会いに行った。

熊本市内で会い、お茶を飲みながらおしゃべり。現実の女の子とじっくり会話するのは初めてで、公園を散歩するのも初めてだった。二次元にいるのか現実世界にいるのかわからなくなる瞬間があった。

腹を空かせてそうな野良猫がいた。

「野良猫はお金かせげないし、お金があっても食べ物を買えないから、人間の世界で生きていくのが大変だろうな。何か食べさせてあげよう」

俺はコンビニでシーチキンの缶詰を買ってその猫に食べさせた。こういうことをたまにやる。真剣にやる。でもデートの最中にやってしまったので少し後悔。彼女は怒っているだろうな、と横顔を見る。

でも彼女は微笑んでいた。

「優しいのね。普通そういうことできないよ。野良猫のことをそこまで考えるなんて」

と褒める彼女。意外だった。

俺は自分が大した人間ではなく、ただのアニメ趣味のオタクにすぎないと力説。すると、人にはない感性とピュアな気持ちを持っているからアニメの世界にとけ込めるのよ、と言ってくれた。そういう見方もできるのか、と思った。

「これからはその素質を現実の中で活かしたら? きっと素敵な男性になれると思うよ」

「君が一緒にいて手伝ってくれるのなら、そうしてみようかな」

彼女がニンマリと微笑んだ。彼女は俺を正しい道に導くために二次元から三次元にやってきたのかもしれない。こういう発想自体がすでにオタクだが、真面目にそう思うのだからしかたない。

現実の女性は温かくて気持ちよかった。

俺はその温もりに触れながら現実世界の男になり、現実世界の彼女とセックスした。そして晴れて童貞を卒業した。

先日某企業の内定を取った。

新しい人生が始まる。

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